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2017年10月20日
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39)Little Dot mk VIII SEレビュー

2011年10月11日
※都合により11月22日にレビューを書き直しております。

安価で音質が良く、マイナーながら人気のあるLittle Dot製ヘッドホンアンプ。
その中でもさらにマイナーな「Little Dot mk VIII SE」を購入しました。
オペアンプと真空管によるハイブリッド型。
オペアンプによるボルテージフォロワ型と思われます。
そしてこのヘッドホンアンプは類を見ない設計となっています。
なんとフルバランス回路なのです。
左右チャンネルのプラス(ホット)とマイナス(コールド)、計4回路に分離し増幅する設計です。
出力保護回路(リレー式)も搭載し安全面にも配慮。

実売価格は現地価格で800USD前後。
送料は別途90USD程度。


【主な仕様】
周波数特性:5Hz - 80KHz (-3dB) 10Hz- 30KHz (-1dB)
適応ヘッドホンインピーダンス:32 - 600Ω 
出力:1W(300Ω) 2W (600Ω) 基板上のディップスイッチにてHI/Lo切替
入力系統:バランス(3ピンXLR)入出力左右各1系統、アンバランス(RCA)左右各1系統。
出力系統:バランス(4ピンXLR)、アンバランス(1/4インチフォーン型)出力1系統。
駆動電圧:110v or 230v(注文時に選択)
本体サイズ : 350mm (幅) by 290mm (奥行) by 140mm (高さ) 9.6 kg
カラー:ブラック、シルバー

使用している真空管はプリメイン管12AT7@2本、パワー管6H30PI@4本。
どちらも「electro-harmonix 」、通称”エレハモ”製。
安物真空管アンプにありがちな中国製真空管を使用していないだけ良いでしょう。
12AT7は言わずとも知れた有名な管なのでさまざまなメーカー、シリーズが存在します。
6PH30はマイナーなのか、調べてみると種類は少ないようです。
1本あたりの価格は12AT7@12~15ドル、6H30PI@35~40ドル程度。

気になるオペアンプは真空管向け(高電圧品)の「OPA445AP」を各回路に1個ずつ、計4個使用。
1個あたり1000円程度、メーカーのHPにはオーディオ用とも記載あり。
マイナーなようで調べても情報はあまり出てきません。
ICソケットに装着されているので交換可能ですが、高電圧用のためむやみに交換しない方が良いでしょう。
念のためオペアンプの駆動電圧を測定するとおよそ±15Vでした。




本体正面から。
正面パネルのメーターは左右チャンネルそれぞれのアンメーター(mA)。
フォーンジャックはがっちり固定できるタイプ。
RCAジャック以外は信頼のノイトリック製。




内部(底面から)
奥側に入出力系統。
配線もきちんと束ねられ、はんだ付けもきれいです。




基板のアップ。
オペアンプ手前に見える黄色い物体はポテンションメーター。
オペアンプの出力基準電圧を調整するものでいじってはいけません。
入力が無い状態で出力電圧が0Vになるよう調整するそうですが、電子回路に詳しいなら自己責任にてどうぞ。




背面入出力系統のアップ。




フロントパネルアンメーター。




無記名の保証書(両面)。
※一応ぼかしを入れてあります。



【レビュー】

先に音に対する評価から。
初の真空管ヘッドホンアンプということで期待と不安が交錯していました。
ちなみに海外サイトではかなり高評価でした。

使用したヘッドホンはHD650(アンバランス接続)。
※バランス出力については後日、別のヘッドホンにてレビューします。

機器の接続:【PC】→【USB】→【W4S DAC 2】→【XLR】→【mk VIII SE】
比較対象:DR.DAC2(【X-meridian】→【同軸デジタルケーブル】→【DR.DAC2】)

真空管のバーンイン(エージング)は50時間程度。

・左右音の広がりがアップした(広がりすぎている感じも)
・高音は主張気味だがしっかり伸びている(ソースによってはきつく感じる)
・解像度はDR.DACに劣らず
・DR.DAC2と比べ温かみがあり、音の厚みもアップしている
・適度に温かみがあるが思ったほどでもない

HD650のポテンシャルが引き出されたような、こんな鳴り方もあるのかと興味深い音です。
音の厚みはOPA637がどうとかそういう次元ではありません。
DR.DAC2において低音を増すにはOPA637云々、そんな事はどんぐりのなんとやらレベルです。
これが真空管の力というものでしょうか。
残念な点としては音が全体的に平坦気味、かつ重心がやや浮いたように感じられる。
左右へ音は広がっているものの若干音場が狭く感じられ、音の厚みと温かみが相まってやや明瞭感に欠け、輪郭も少しぼやけています。
高音のかすれ感も気になります。

真空管だけど巷に聴くような”真空管の音”とは思えない。(初めての真空管なのであくまで独断)
いかにも真空管らしいアナログ的な音とは違い、万人受けとまではいかなくとも嫌われるような傾向ではないと思います。
とはいえやはり真空管は真空管なので、お世辞にもDR.DAC2のように明瞭とは言えません。
クールで明瞭な音が好みならちょっと微妙かも。

気になるノイズは思っていたよりも少なく、通常の範囲では皆無です。
ボリュームを3時くらいの位置まで上げると若干気になります。
それでもノイズは少なく、許容の範囲です。

オススメなジャンルはクラシックです。
HD650はクラシックに向いていると言われていますが、mk VIIIと組み合わせることでベストマッチと言っても過言ではないです。


次は本体についての評価を。
1、さすが中華製とあって、作りの精度はイマイチです。
トランスのカバーはきれいな凹凸仕上げの塗装で良いのですが、本体のつなぎ目を見ると結構アラが目立ちます。
表面がわずかに傷ついているところも。
RCAジャックは本体にネジ止めされていますが、GND側が本体に干渉しGNDループ状態になっていました。
手直ししたのでおそらく大丈夫でしょう。

2、底面の脚が安っぽいゴム製。
ネジ止めになっているのでまともな脚に交換したほうが良いでしょう。

3、真空管がマッチング品ではない模様。
そのせいか、メーターがいい加減なのかはわかりませんが、左右のアンメーターの針の位置が若干違うのが気になります。
微調整可能なのでごまかし程度にいじってあります。

4、仕様の割に音が小さい。
仕様を見る限りDR.DACの方が出力は小さい(MAX 300mW)ですが、DR.DAC2の方が音量を大きく取れます。
当然ながらmk VIIIの出力Hi/Lo切り替えスイッチは「Hi」にしてあり、PCやDACの音量も適正です。
低能率ヘッドホンをつなぐと音が小さく使い物にならない可能性も。
録音レベルがまともなソースの場合HD650なら12時くらいの位置でちょうど良いです。

5、悪い点というほどでもないですが、XLR出力は入力からのスルーではなく、真空管からの出力でヘッドホン出力ともつながっています。
要するにバッファーアンプのような感じでしょうか。
気に入らないならば配線をいじってスルー化するのもありでしょうか。

6、ハイブリッド型真空管アンプでは当たり前かもしれませんが、電源投入後タイマー回路により1分少々の間音が出ない(音が割れる&小さい)設計になっています。
電源を入れるとまず左側アンメーターのバックライトが点灯し、針はまだ振れません。
1分少々すると右側メーターのバックライトが徐々に発光し、左右メーターの針が一気に振れてから使用可能となります。

7、受注生産らしく、発送にこぎつけるまで2週間程度要した。


【総評】
フルバランス構造であることを考えればコストパフォーマンスに優れた製品と言えるでしょう。
真空管自体がそれなりの物(可もなく不可もなく)を搭載しているので、交換すれば化ける可能性も十分あります。
作りの荒さ、アフターサービスなどの保証面は致し方ないですが、まともなメーカー品なら倍の値段はくだらないと思います。
1年保証との事ですが、最低でも片道送料はこちら持ちになるでしょうし、正しく修理されるのか、納期はどうなるのか不安要素が満載です。
よって保証は無いものと思ったほうが良いでしょう。
下手に向こうへ修理に出すのなら、国内で修理してくれるところを探した方が確実かもしれません。

駆動電圧は110Vですが、あまりシビアにならなくても良いと思います。
特に60Hzの地域にて使用するなら50Hzよりは優位なので尚の事です。
電圧が低ければ真空管の発熱も減るでしょうし、その分真空管には優しいかもしれませんね。


【おまけ】
購入したのは中国の通販サイトでしたが、EMSと同等の発送にもかかわらず到着まで2週間もかかりました。
原因は聴いたこともないような怪しいマイナーな業者を使用していた事。
通常中華さんたちはDHLやEMSを使うのが一般的のようですが、どういうわけかマイナーな業者にて発送。
調べたところ日本にも支店がありましたが、最終的に某大手運送会社に委託してます。
EMSやDHL等ではありえない電話での本人確認必須、さらに関税以外の手数料(1500円程度)を取るという訳の分からないことをしてくれました。
結局電話に出ることができず、2週間ほどすると荷物が送られてきました。

無事届いたのは良いのですが、梱包がいい加減。
メーカー梱包と思われるまともな梱包の隙間を埋めるかのように発泡スチロールのコマ切れが詰め込まれていました。
粉々になった発泡スチロールの粒が本体に入り込んでいたりと最悪です・・・。
さすが中華クオリティ。(苦笑)


次回は真空管の交換とバランスヘッドホンを接続してのレビューを予定しています。
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